20090117

「悪人」を読んで。

今年は読書感想文を書くって目標を立てました。
新しい会社には本好きがたくさんいらっしゃって
さっそくお借りしたので、ちょっと真剣に”感想文”を書いてみた。




真面目でつまらない、傲慢で低俗、
地味で大人しい、独り善がりで思い込みが激しい、、
といった部分が誇張された人間が多く出てくるが
それらは誰しも持っているものであり、
悪人性は日常の中にこそ潜んでいる。

様々な人間の視点で構成されており、
それぞれの立場の生き様や気持ちが
俗っぽさを醸し新聞連載ということが頷ける。
一冊の本として読むより、
少しずつ読む方が面白いのだろうと思う。

悪人というタイトルは、犯人よりも悪が存在すると捉えたが
それだけでなく必要悪という意味合いも含んでいると考えられ
主人公 祐一の「どちらも被害者にはなれない」という想いを示している。
祐一は優しい人間だが不器用さが運の悪さを引き起こしていて
実際にそういう人間が多いことは事実であり、やりきれない気持ちになる。
また、若 い世代の登場人物が
この事件からどのように進んでいくのかは明確でなく
現実社会の無機質な若者たちを暗示しているように感じ、
仕方がないという諦めを 思ってしまう自分も
同様の分類なんだと気付かされる。

佳乃の両親や祐一の祖母は、前向きに生きていく様が描かれ
日本を支えてきた世代の強さに希望を見出すことができた。
鶴田が感じた"人の匂い"は、先述した無機質な若者たちにこそ必要であり
育った環境や資質を言い訳にせず、
自分の選択に責任を持って生きることが求められている。

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